Discover就職・転職の扉をひらく「ことばランド」EP#102 「地方創生」といことばに、少し違和感を覚える。そもそも「地方」って何なんだろう、を考えてみました
EP#102 「地方創生」といことばに、少し違和感を覚える。そもそも「地方」って何なんだろう、を考えてみました

EP#102 「地方創生」といことばに、少し違和感を覚える。そもそも「地方」って何なんだろう、を考えてみました

Update: 2024-05-20
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僕は「出身」と言われると困りんです。辞書によれば、「出身」は、どこを経て現在に至ったか、ということで、出生地や卒業した学校、勤めたところ、社会階層なども含めたものなのですが、一般的には「生まれ育ったところ」というイメージで使われています。僕は、父が転勤族だったので、引っ越しも多く、出身と言われてもピンとこないんです。

「地方」ということばがあります。最近では「地方創生」ということばもよく見聞きします。僕はこの「地方創生」っていうことばに、違和感があるのです。どの視点で見てるんだろうと思うんです。

辞書を引くと「地方」は、「首都以外の地域」って書いてあるんです。どうも、中央集権型のお上的意識がプンプン匂ってくるんです。「地方創生」ということばにも、そういう感覚が漂っているような気がしてならないんです。「地方創生」の基本政策を定めた「まち・ひと・しごと創生法」にも「地方」について、明確に定義していないんです。

僕は、町村議会の広報研修に行く機会が年に数回あります。そこで、確かに「まもなく過疎指定になる」という声も聞きます。2022年度には、総務省が「過疎地域」に指定する自治体が885市町村になりました。この制度は、1970年につくられて以来初めて、東京23区を除く全国1718市町村の半数を超えたんです。人的・経済的な差は広がっていることは間違いありません。

しかし、東京23区もそのうち過疎になる区は出てくるだろうし、地方だけの問題じゃないはずなのに、なぜか地方創生と言っている。喫緊の課題かもしれないけど、人口は1年、2年で変わるものではない。20〜30年先を見越して考えるべきです。東京だけ生き延びても仕方ないですもんね。

そこに受け継がれ、根付いた文化がいったん途絶えると、それを継承することができない。全てがなくなってもいい、という発想もあると思うんだけど、そこに生まれ育った人たちの拠り所って大切だと思います。震災などで家が失われても、やはりそこから離れて暮らすことに抵抗があるのは、当然だと思う。

東京一極集中も危機管理の問題から考えても、危ない。少数での競争は激化するだろうし、幸せ指数は減ってしまう気がするなあ。「地方」ということばの新しい語釈を考えていくべき時代にきているかもしれない、そんな気がしています。

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安正 前田